第二審関係 (現在審理中)
第一審判決
中国の新聞に掲載された
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[第一審判決] 2002年8月29日(木)琉球新聞(社説)







求められる補償への道

七三一部隊判決

 日中戦争時に旧日本軍の細菌戦部隊「七三一部隊」などがまいたペスト菌やコレラ菌に感染し、死にかけたり、親族をなくしたりしたとして中国人百八十人が国に総額十八億円の賠償と謝罪を求めていた訴訟の判決で東京地裁は、細菌戦が行われ多数の住民が死亡するなどとした事実を日本の司法として初めて認定し、「悲惨で非人道的」と指摘した。
 七三一部隊の存在や細菌兵器開発のために人体実験を行った事実は別の訴訟の判決で認められていたものの、細菌戦被害が正面から問われた訴訟は今回が初めてであり、そういった意味では画期的な判決といえよう。
 この事実を否定、わい曲、隠ぺいする動きもあっただけに、なおさらこの判決は思い者がある。
 国も細菌戦の事実について反証しなかったという。それは国も自ら歴史的事実として認定したと受け取っていいだろう。
 しかし、請求については「戦争被害で個人の賠償請求を認めた国際慣習法は当時も今も成立していない」などの理由で退け、問題を残すことになった。
 「基本的事実が認められたのに、なぜ裁判に負けるのか」と被害者らが抗議の声を上げるのも理解できる。控訴審でどうなるか。分からない。
 市民団体「戦後補償ネットワーク」の有光健世話人代表は「現行法制度での解決が無理ならば政府だけでなく、国会も動いて立法措置を講じるなど、被害者に対する想起の謝罪と救済を実施すべきである」と指摘しているが、その通りである。
 日本は「戦争に対する反省がない」と中国、韓国をはじめアジアの国々から、ことあるごとに追及されてきた。しかし、首相の靖国神社参拝問題に象徴されるように、侵略された国の感情を逆なでするようなことばかり続けているのが実情ではないだろうか。
 「謝罪すべきは謝罪し、償うべきは償う」ことが、戦争責任のとり方である。