《シリーズ・『裁かれる細菌戦』 vol.3_120ページ》






第三節 常徳における細菌戦以後のペストに関する研究

 七三一部隊では、一九四〇年の農安および新京で発生したペストの詳細な疫学解析から、ペスト流行にはペスト感染ネズミおよびノミが関与することを明らかにし、常徳ではペスト感染ノミの投下でペスト発生を成功させた。
 前述したように、ペスト感染ノミの研究は、世界各国の研究者によって古くから研究されてきた。その多くは、ペストという人類にとって恐怖の対象である感染症から人々を守るために、感染源となるペスト感染ノミの、感染のメカニズムや感染経路の研究に時間が費やされている。それに反し七三一部隊の姉妹部隊である栄一六四四部隊における研究は、感染ノミの重力や回転数あるいは低音における抵抗力など、昆虫学の常識を外れた研究が多くみられる。一九四二年以降、近喰秀大によってなされた一連の研究は、ペスト感染ノミの兵器としての開発を彷彿とさせるものである。近喰秀大のネズミノミに関する研究は一報から一一報まで報告されている。すなわち
 (一)殊に腺ペスト疫学上の観点より行える実験
 (二)ペスト菌保有蚤の飢餓日数別による感染実験
 (三)ペスト菌保有蚤の飢餓日数別による有毒性
 

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