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[第9回裁判] 王選さんの陳述(7)


今日は、原告団を代表して、現在準備されている「細菌戦被害者による第二次裁判」のことや中国における細菌戦問題への重大な関心が払われている事情などについてお話をします。


   一、中国マスメディアの新しい動き 私たちが起こしたこの裁判がきっかけとなって、七三一部隊をはじめとする細菌戦部隊が犯した非人道的な行為の数々が、世界的規模で明らかになりつつあります。今年の三月四日と七日の二日間、米国のニューヨークタイムズが、旧日本軍の細菌戦について報道したのは、その表れです。この報道は、私たちの裁判のもつ意味にも関係する非常に重要な出来事ですから、私は、今年三月の第八回の裁判で紹介しました その後、三月二四日、そのニューヨークタイムズの長い記事が、中国の全国紙「参考消息」に全文翻訳され掲載されました。「参考消息」は、中国で唯一の外国マスメディアと外国駐在中国マスメディアの記事をもとにした国際情報専門紙であり、最も発行部数が多い新聞紙の一つです。 このような中国マスメディアの新しい動きの中で、細菌戦問題の真実が、中国一二億の民衆の中にも、急速に知られるようになってきています。このような細菌戦をめぐる新しい動きをを、ぜひ裁判官に知って欲しいと思います。

   二、中国で開かれた「中日細菌戦問題交流会」 今年三月二一日に、中国上海市で土屋公献弁護士を団長とする日本民間細菌戦調査団が、中国の学者、地方細菌戦調査研究者、被害者代表等と一緒に日本の細菌戦歴史問題、戦争責任問題について、交流会が行なわれました。 日本側の参加者は細菌戦裁判弁護団、学者、医師、テレビディレクター、雑誌編集者、研究者、在日中国人留学生、元中国人留学生等、中国側は、上海社会科学連合会、上海市中国現代史学会、上海社会科学院、上海の復旦大学、同済大学、華東政法大学、華東師範大学、上海師範大学、上海第二医科大学等、江蘇省の南京大学、浙江省社会科学院、杭州師範大学の学者、湖南省常徳市、浙江省麗水市、雲南省保山市の細菌戦調査研究者、被害者代表、新聞記者、アメリカ人ジャーナリスト等が参加しました。 細菌戦の裁判が交流会の焦点になり、強い関心が寄せられ、大きな支持を得られました。中国の浙江省、湖南省、雲南省等の地域で民間ボランティア活動による細菌戦被害調査研究が広く確実に展開されています。   その後、日本の調査団が中国各地の地方細菌戦調査研究者、被害者代表、浙江省の学者に同行し、浙江省の被害地麗水市、義烏市、崇山村、東陽市等の調査を行われました。至る所で、周辺地域からつめかけて来た大勢の人々に歓迎され、被害者遺族の皆さんが調査団に細菌戦の被害を控訴し、日本政府に責任を追究するために、訴訟に参加する強い意欲を表明しました。

   三、今秋、第二次裁判を提訴の予定 三月二三日に、義烏市で、弁護団と原告団、各地の調査会、被害者代表の共同訴訟会議が行われました。各地の被害者たちの強い要望を受け、第二次提訴することを決定しました。 提訴する地域は、現訴訟の被害地と同じ因果関係の地域です。一ヵ所の被害地につき一、二名が、被害者の代表として原告になり、原告の総人数を、六〇人にする予定です。この六〇人でも代表できるのは、現段階で明らかにされている被害の規模の氷山の一角に過ぎない程度のものです。 この以上の活動が、イギリスのロイター通信、中国の上海市、江蘇省、浙江省各地のマスメディアに取材報道され、中国中央テレビも報道しました。

   四、旧日本軍細菌戦写真展示会の開催 崇山村、義烏市、麗水市に引き続き、今月九日に旧日本軍細菌戦写真展示会が衢州市で開催されました。開幕式が衢州師範学校で行われました。七月二日までに、地方の大学、短期大学、専門学校、高校、中学校、小学校、全部で一八校に展示される予定です。衢州の原告、被害関係者たちが、各展示会で証言なされます。 第二次裁判は、このような中国の中の細菌戦をめぐる新たな動きの中で、準備されているのです。


               以 上